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5.6.4 プロジェクト3:ユーザーセグメンテーション分析(クラスタリング問題)

ユーザーセグメンテーション RFM クラスタリング図

情報説明
タスク種類クラスタリング(教師なし)
手法RFM モデル + K-Means
評価指標シルエット係数
関連スキル特徴量設計、標準化、次元削減、クラスタリング、ビジネス解釈

コードを読む前に押さえる用語

Section titled “コードを読む前に押さえる用語”
  • RFM(Recency、Frequency、Monetary):顧客価値を考えるための枠組みです。最後に購入してからどれくらい経ったか、どれくらい頻繁に購入するか、いくら使ったかを見ます。
  • K-Means:サンプルとクラスタ中心の距離に基づいてグループを作るクラスタリング手法です。シンプルで高速ですが、事前に K、つまりグループ数を決める必要があります。
  • K:クラスタ数です。ビジネスのセグメンテーションでは、指標だけでなく、各グループが説明可能で行動につながるかも見ます。
  • Standardization(標準化):異なる尺度の特徴量を比較しやすい大きさにそろえることです。これをしないと、monetary が数値の大きさだけで recencyfrequency を圧倒してしまうことがあります。
  • PCA(Principal Component Analysis、主成分分析):高次元の特徴量を少ない軸に圧縮して可視化しやすくする方法です。グループを見る助けにはなりますが、ビジネス解釈の代わりにはなりません。
  • Silhouette score(シルエット係数):サンプルが自分のグループに近く、他のグループから離れているかを見る指標です。高いほどよい傾向はありますが、業務上説明できないクラスタは良いクラスタとは言えません。

まず、とても重要な学習の期待値をはっきりさせよう

Section titled “まず、とても重要な学習の期待値をはっきりさせよう”

この問題で新人がつまずきやすいポイントは、クラスタリングが動かないことではなく、プロジェクトが次のようになってしまいやすいことです。

  • グラフはきれい
  • グループ名も付けた
  • でも、ビジネス上どう使うのかがわからない

最初の一回でまず身につけるべきなのは、クラスタリング図をもっときれいに描くことではなく、

「グループ構造」を本当に「行動できるユーザー像と戦略」に翻訳する方法

です。

この線を先に作れれば、この問題は単なる可視化練習ではなく、実際のプロジェクトにかなり近づきます。


この問題は「図はきれいだけど、説明が薄い」になりやすいです。 なので、いきなりクラスタリングを回すよりも、「どんな群を価値ありとみなすのか」を先に考えるのが一番安定しています。

flowchart LR
A["まずビジネス特徴を定義する<br/>RFM"] --> B["次に標準化して K を選ぶ"]
B --> C["次にクラスタリングと可視化を行う"]
C --> D["次にグループ名を付ける"]
D --> E["最後に行動提案を出す"]
style A fill:#e3f2fd,stroke:#1565c0,color:#333
style E fill:#e8f5e9,stroke:#2e7d32,color:#333

教師なしプロジェクトで大事なのは、「アルゴリズムを最後まで動かしたか」ではなく、クラスタリング結果を行動可能なユーザー像のストーリーとして説明できるかどうかです。

このページを終えたら、この evidence card を残します。

プロジェクト目標
予測、セグメンテーション、Kaggle、またはエンドツーエンドの ML ポートフォリオ対象
パイプライン
データ分割、前処理、モデル、評価、レポート成果物
結果
metric 表、chart、予測、失敗サンプル、README の注記
失敗確認
再現不可能な実行、リーク、過学習、弱いベースライン、またはデプロイ境界の不足
期待される成果
パイプライン、メトリクス、失敗レビューを含む ML プロジェクトフォルダ

この問題で本当に練習すること

Section titled “この問題で本当に練習すること”

このプロジェクトの本当に難しいところは、クラスタリングラベルを出すことではなく、次の3つです。

  1. ビジネス用語で特徴を定義する
  2. K の値が妥当か判断する
  3. クラスタリング結果を「行動できるユーザー群」として説明する

最初の版でまず確認すべきこと

Section titled “最初の版でまず確認すべきこと”

初めてこの問題に取り組むとき、最初に確認すべきなのは次の点です。

  • 選んだ特徴量にビジネス上の意味が本当にあるか
  • 各特徴量の方向性が説明できるか
  • 最終的にどんな基準でグループ名を付けるのか

クラスタリングプロジェクトでは、後半の「説明の質」の上限は、特徴量の定義の段階でほぼ決まってしまうことがよくあります。

この問題は、次のように考えると理解しやすいです。

  • たくさんのユーザーに対して「実行可能な層分けリスト」を作る

大事なのは、

  • 機械が人を無理やり何分類かに分けること

ではなく、

  • その層分けが、運営・マーケティング・プロダクトチームの行動に本当に役立つか

です。

つまり、この問題で一番価値があるのはクラスタリングそのものではなく、

  • 命名
  • 解釈
  • 行動提案

です。

  1. まず RFM の意味をはっきり説明する
  2. 次に標準化と K の選定を行う
  3. 次に PCA で可視化する
  4. 最後にグループ名とビジネス提案を書く

教師なしプロジェクトで一番怖いのは、「図は作れたけど、説明できない」ことです。

初めてこの問題に取り組むときの、いちばん安定したデフォルト順序

Section titled “初めてこの問題に取り組むときの、いちばん安定したデフォルト順序”

初めてユーザーセグメンテーションをやるなら、この順番がおすすめです。

  1. まずビジネス目標を明確にする
  2. 画像化したい特徴量がなぜ RFM なのかを決める
  3. 標準化と K の選定を行う
  4. 各グループの統計的な特徴を出す
  5. PCA 図で見やすく示す
  6. 最後にグループ名とビジネス提案を書く

こうすると、先に作るのは次の要素になるので安定します。

  • 特徴量の意味
  • クラスタリングの根拠
  • グループ像
  • ビジネス行動

図に引っ張られるのではなく、この一連の流れを先に作れます。

ステップ 1:RFM データを生成する

Section titled “ステップ 1:RFM データを生成する”
import pandas as pd
import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt
rng = np.random.default_rng(seed=42)
n_customers = 1000
df = pd.DataFrame({
'customer_id': range(1, n_customers + 1),
'recency': rng.exponential(30, n_customers).astype(int) + 1, # 最後の購入からの日数
'frequency': rng.poisson(5, n_customers) + 1, # 購入頻度
'monetary': rng.exponential(200, n_customers).round(2) + 10, # 総消費額
})
print(df.describe())
指標意味値が大きいとどういう意味か
Recency最後の購入からの日数小さいほど良い(最近購入している)
Frequency購入頻度大きいほど良い(常連)
Monetary総消費額大きいほど良い(高消費)

ステップ 1.1 なぜ RFM は最初のクラスタリングプロジェクトに特に向いているのか

Section titled “ステップ 1.1 なぜ RFM は最初のクラスタリングプロジェクトに特に向いているのか”

RFM には、新人にとってとても扱いやすい 2 つの良さがあります。

  • ビジネス上の意味がとてもわかりやすい
  • その後のグループ解釈が自然にしやすい

つまり、抽象的な数値をクラスタリングするのではなく、

  • 最近購入したか
  • 頻繁に来ているか
  • たくさん使っているか

という、直感的な行動で分けられます。


ステップ 2:特徴量の標準化とクラスタリング

Section titled “ステップ 2:特徴量の標準化とクラスタリング”
from sklearn.preprocessing import StandardScaler
from sklearn.cluster import KMeans
features = ['recency', 'frequency', 'monetary']
scaler = StandardScaler()
X_scaled = scaler.fit_transform(df[features])
# エルボー法で K を選ぶ
inertias = []
sil_scores = []
K_range = range(2, 9)
from sklearn.metrics import silhouette_score
for k in K_range:
km = KMeans(n_clusters=k, random_state=42, n_init=10)
labels = km.fit_predict(X_scaled)
inertias.append(km.inertia_)
sil_scores.append(silhouette_score(X_scaled, labels))
fig, axes = plt.subplots(1, 2, figsize=(12, 4))
axes[0].plot(K_range, inertias, 'bo-')
axes[0].set_xlabel('K')
axes[0].set_ylabel('Inertia')
axes[0].set_title('エルボー法')
axes[1].plot(K_range, sil_scores, 'ro-')
axes[1].set_xlabel('K')
axes[1].set_ylabel('シルエット係数')
axes[1].set_title('シルエット係数法')
plt.tight_layout()
plt.show()

ステップ 3:クラスタリングと可視化

Section titled “ステップ 3:クラスタリングと可視化”
from sklearn.decomposition import PCA
# 最適な K を選ぶ
best_k = K_range[np.argmax(sil_scores)]
print(f"最適な K: {best_k}, シルエット係数: {max(sil_scores):.4f}")
km = KMeans(n_clusters=best_k, random_state=42, n_init=10)
df['cluster'] = km.fit_predict(X_scaled)
# PCA による次元削減と可視化
pca = PCA(n_components=2)
X_2d = pca.fit_transform(X_scaled)
plt.figure(figsize=(8, 6))
scatter = plt.scatter(X_2d[:, 0], X_2d[:, 1], c=df['cluster'], cmap='Set2', s=15, alpha=0.6)
plt.colorbar(scatter, label='クラスタ')
plt.xlabel(f'PC1 ({pca.explained_variance_ratio_[0]:.1%})')
plt.ylabel(f'PC2 ({pca.explained_variance_ratio_[1]:.1%})')
plt.title('ユーザーセグメンテーション(PCA 投影)')
plt.show()

ステップ 3.1 PCA 図はどう解釈するべきか

Section titled “ステップ 3.1 PCA 図はどう解釈するべきか”

この図の役割は主に次の通りです。

  • グループがある程度分かれているかを見る
  • 目立つ外れ群があるかを見る
  • 結果の見せ方を補助する

ただし、これが最終的な証拠ではありません。 プロジェクトの質を本当に決めるのは、次の要素です。

  • グループごとの統計的特徴
  • 命名が妥当かどうか
  • ビジネス提案が実行可能かどうか

ステップ 4:クラスタリング結果の解釈

Section titled “ステップ 4:クラスタリング結果の解釈”
# 各グループの RFM 統計
cluster_summary = df.groupby('cluster')[features].mean().round(1)
cluster_summary['顧客数'] = df.groupby('cluster').size()
print(cluster_summary)
# レーダーチャート
fig, axes = plt.subplots(1, best_k, figsize=(4*best_k, 4), subplot_kw=dict(polar=True))
if best_k == 1:
axes = [axes]
angles = np.linspace(0, 2*np.pi, len(features), endpoint=False).tolist()
angles += angles[:1]
# 比較しやすいように [0, 1] に正規化
from sklearn.preprocessing import MinMaxScaler
mms = MinMaxScaler()
radar_data = mms.fit_transform(cluster_summary[features])
# recency は小さいほど良いので反転
radar_data[:, 0] = 1 - radar_data[:, 0]
for i, ax in enumerate(axes):
values = radar_data[i].tolist() + [radar_data[i][0]]
ax.fill(angles, values, alpha=0.25)
ax.plot(angles, values, linewidth=2)
ax.set_xticks(angles[:-1])
ax.set_xticklabels(['最近の活発さ', '購入頻度', '消費額'])
ax.set_title(f'グループ {i}', pad=15)
plt.suptitle('各グループの RFM レーダーチャート', y=1.02, fontsize=13)
plt.tight_layout()
plt.show()

# クラスタの特徴に応じてラベルと提案を付ける
print("\n=== ビジネス提案 ===")
for i in range(best_k):
row = cluster_summary.loc[i]
label = ""
suggestion = ""
if row['recency'] < cluster_summary['recency'].median() and row['monetary'] > cluster_summary['monetary'].median():
label = "高価値アクティブ顧客"
suggestion = "VIP サービス、専用特典でロイヤルティを維持"
elif row['recency'] > cluster_summary['recency'].median() and row['monetary'] > cluster_summary['monetary'].median():
label = "高価値離脱リスク顧客"
suggestion = "再来訪促進マーケティング、パーソナライズ推薦"
elif row['frequency'] > cluster_summary['frequency'].median():
label = "高頻度・低単価顧客"
suggestion = "客単価向上、クロスセル"
else:
label = "低アクティブ顧客"
suggestion = "低コスト接触、クーポンで活性化"
print(f" グループ {i} ({int(row['顧客数'])} 人): {label}")
print(f" 提案: {suggestion}")

ステップ 5.1 グループ名を付けるときの、実用的なテンプレート

Section titled “ステップ 5.1 グループ名を付けるときの、実用的なテンプレート”

次の順番で名前を付けると便利です。

  • まずアクティブ度を見る
  • 次に価値を見る
  • 最後にリスクを見る

たとえば次のようにできます。

  • 高価値アクティブ顧客
  • 高価値離脱リスク顧客
  • 高頻度・低単価顧客
  • 低アクティブ・要活性化顧客

この命名の良いところは、あとでビジネス担当者が見たときに、どう動けばよいかすぐわかることです。


提出時にできれば追加したい内容

Section titled “提出時にできれば追加したい内容”
  • K を選ぶための曲線図
  • PCA によるクラスタリング可視化
  • グループ像の表
  • 「なぜこのようなグループ名にしたのか」の説明文

より完成度の高いプロジェクト構成

Section titled “より完成度の高いプロジェクト構成”
  1. なぜ RFM を使って画像化するのか
  2. どうやって K を選ぶのか
  3. 各グループの特徴は何か
  4. なぜその名前を付けたのか
  5. 各グループにどんな戦略を取るのか
  6. 続けて改善するなら、次にどんな特徴量を追加したいか

ポートフォリオとして見せるなら、特に何を見せるべきか

Section titled “ポートフォリオとして見せるなら、特に何を見せるべきか”
  • K を選んだ根拠
  • 各グループの RFM 画像化表
  • クラスタリングの可視化図
  • グループ名と戦略の 1 ページ表
  • 「このクラスタリングに本当にビジネス価値があるか」の自分なりの判断

プロジェクト確認チェックリスト

Section titled “プロジェクト確認チェックリスト”
  • RFM 特徴量を作成する
  • 標準化 + エルボー法/シルエット係数で K を選ぶ
  • PCA によってクラスタリング結果を可視化する
  • 各グループの RFM 特徴を分析する
  • 実行可能なビジネス提案を出す
プロジェクト参考とレビュー観点
  1. RFM 特徴量には明確な観察期間が必要です。期間がないと、recency や frequency の意味が曖昧になります。
  2. K-Means の前に RFM を標準化します。そうしないと monetary のスケールが距離を支配しやすくなります。
  3. K は証拠と実用性の両方で選びます。エルボー法やシルエット係数に加え、名前を付けて行動に移せるクラスタかを見ます。
  4. PCA は可視化の補助です。2 次元図だけを証拠にせず、各クラスタの profile table を主な説明材料にします。
  5. 業務提案はクラスタの特徴と対応している必要があります。クラスタが不安定または行動不能なら、無理に施策化せず特徴量を改善します。

バージョンの進め方のおすすめ

Section titled “バージョンの進め方のおすすめ”
バージョン目標提出の重点
基本版最小限の閉ループを動かす入力・処理・出力ができ、サンプルを 1 つ残す
標準版見せられるプロジェクトにする設定、ログ、エラー処理、README、スクリーンショットを追加する
発展版ポートフォリオ品質に近づける評価、比較実験、失敗サンプル分析、次の改善方針を追加する

まずは基本版を完成させるのがおすすめです。最初から何でも盛り込もうとしないでください。バージョンを一つ上げるたびに、「何を追加したのか」「どう検証したのか」「まだ何が課題か」を README に書きましょう。